ロシア

  日本は、現在までのところロシアに対し、次のような協力を行っています。

1. 低レベル液体放射性廃棄物処理施設 「すずらん」の供与
  (1)  ロシア極東地域においては、放射性廃棄物を処理する施設が不足していたため1993年、放射性廃棄物が日本海にそのまま投棄されるという問題が発生し、日本海の環境汚染が大いに危惧されました。「すずらん」は、このような状況を背景として原子力潜水艦の解体作業から生じる低レベルの液体放射性廃棄物を安全に処理するために供与されました。「すずらん」は、浮体構造の洋上処理施設であり、年間7千立方メートルの処理能力を有する世界最大級の液体放射性廃棄物処理施設です。現在ウラジオストク対岸のボリショイカーメニ湾にあるズヴェズダ造船所に係留され、大きな威力を発揮しています。

(2)  「すずらん」は、1998年4月に完成、必要な試運転及びロシア国内の調整を終えた後、2001年11月、ズヴェズダ造船所において引渡式が行われ、処理作業を開始しました。 「すずらん」完成後は、液体放射性廃棄物の日本海への投棄はありません。
 
すずらん

 
(3) 「すずらん」仕様書概要は、次のとおりです。

【処理施設の規模】   【発電施設】
  ●長さ 65.0m     ●ディーゼル発電機 360kw 3台
  ●幅 23.4m     ●緊急用ディーゼル発電機 65kw  1台
  ●深さ 6.6m        
  ●喫水(最大) 3.5m   【ボイラー】
          ●1,500kg/時 2基  
【タンク容量】        
  ●汚染水用 800立方メートル   【バージ】
  ●清浄水用 800立方メートル     ●錨用ウィンチ 3×80KN(注1)
          ●バージ係留用キャプスタン 1×80KN
【処理能力】     ●救命いかだ(8人乗り) 4隻
  ● 35立方メートル/日     ●クレーン 1×5,0tf(注2)
  ● 7,000立方メートル/年        
             
【処理対象の放射性レベル】     (注1)KN=kilo newtons(「トルク」力)
  10-5ci/l       (注2)tf=tonnes force (「リフト」力)


(4) 2001年11月22日、ズヴェズダ造船所で「すずらん」 の供与式典が実施されました。 式典には、日本側より在ウラジオストク総領事を始め、外務省関係者等、ロシア側より原子力省、経済省、連邦核・放射能安全監督局、沿海地方行政府、 太平洋艦隊並びにズヴェズダ造船所の関係者、処理施設建設関係者が出席し、その模様は日露両国にて広く報道されました。
「すずらん」の供与式典
                        供与式典

(参考資料)
Process Flow Sheet


2. 原潜解体支援 (ロシア退役原潜解体協力事業「希望の星」)
  (1) 1999(平成11)年5月、日本政府は、「軍縮と環境保護のための日露共同作業(日本政府による対ロシア非核化支援、軍縮・不拡散分野の新たなイニシアティブ)」を発表、同イニシアティブの一環として、軍備管理・軍縮及び環日本海の環境保全の観点から重要かつ緊急の課題であるとの認識の下、極東における退役原子力潜水艦解体支援を実施していく方針を決定しました。
(参考資料)
軍縮と環境保護のための日露共同作業(外務省)

(2)2003年1月の小泉総理の訪露の際に日露首脳により「日露行動計画」が採択されましたが、ロシア極東地域の退役原潜解体事業はその重要な柱のひとつとなり、「希望の星」と命名されました。また、同解体事業は2002年のカナナスキス・サミットで採択されたG8グローバル・パートナーシップの一環として実施するもので、1億ドル余りが同解体事業のために充当されることになっています。 

(3)日露両国は、「希望の星」事業の最初のプロジェクトとして、ヴィクターV級原潜1隻の解体を行いました。同解体に対する日本の協力は2003年12月に開始され、2004年12月に終了しました。解体作業は、ウラジオストク郊外のズヴェズダ造船所で行われ、使用済み核燃料の抜取り・搬出(露側資金)、艦体の3分割、艦首・艦尾部分の機材の撤去と断片化、原子炉区画の移送等が行われました。日本は本件原潜解体のために約7億9,000万円を拠出しました。

(参考資料)
ロシア退役原潜解体協力事業「希望の星」第1号プロジェクトの終了について(外務省)

 

ヴィクターV級原潜解体事業


(4)日露両国は、引き続き、「希望の星」事業を積極的に推進していく方針であり、新たに5隻の原潜を対象とした実施取決めについて協議中です。 
    
(5)現在ロシア極東地域に係留されている退役原潜は約30隻で、ウラジオストク、カムチャツカ及びソビエツカヤ・ガバニに係留されています。 原潜は、核ミサイル(SLBM)発射装置を搭載した「戦略型原潜」とそれ以外の「多目的原潜(攻撃型原潜)」に分類されますが、前者については米国がSTARTT等のロシアとの核軍縮協定の実効性を上げる観点から精力的な解体支援を行っています。 他方、後者については、対応が遅れており、日本の協力が期待されています。