1. 案件の概要
| ● 国名:ウクライナ |
| ● 案件名:ウクライナ国防省付属病院支援プロジェクト |
| ● 分野:医療協力 |
| ● 援助形態:機材供与 |
● 協力金額総計:約14億円
第一次医療機材供与 (1994.11-1997.05) 5.73億円
第二次医療機材供与 (1997.11-1998.08) 3.86億円
第三次医療機材供与 (1999.08-2000.04) 1.07億円
第四次医療機材供与 (2000.07-2001.06) 3.07億円 |
| ● 協力期間:1994年11月 − 2001年6月 |
● 先方関係機関:
- ウクライナ国防省
- キエフ中央軍病院を含めた21の軍病院
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1-1 : 協力の背景
90年代の前半から半ばにかけての戦略核ミサイル(ICBM)の廃棄作業及びチェルノブイリ原発解体に従事した軍関係の被曝者の検診、治療のための医療器材・機器の供与が必要となり、日・ウクライナ核兵器廃棄協力委員会総務会の決定に基づき本件プロジェクトが実施された。
1-2 : 協力内容
(1) 上位目標
1. 非核化事業の進展への貢献
2. ウクライナ国内の医療保険計画への貢献
3. 日・ウクライナ友好関係促進への貢献
(2) プロジェクト目標
1. ターゲット・グループの診断及び治療
2. 各病院の医療体制の強化及び維持
(3) 成果
1. チェルノブイリ被曝者、第43戦略ロケット部隊軍人、核兵器解体軍人を対象とした診断系統の整備
2. 各病院への医療機材の補充
3. 各病院への試薬補充
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2. 評価調査団の概要
調査者: 株式会社パデコ
調査期間: 2004年6月13日 〜 7月2日
評価種類: 事後評価 |
3. 評価結果の概要
3-1 : 評価結果の要約
(1) インパクト
1. 非核化協力に対するインパクト
米ロ主導の核兵器解体プログラムにおける社会分野事業として位置づけることが出来、軍民一体となったユニーク、かつ社会的貢献度の高いプロジェクトである。また人道的援助の側面をアピールするものであり、インパクトは非常に大きかった。
2. 各種メディアから見たインパクト
本件プロジェクトは、終了時までウクライナの各種メディアの関心が高く、種々の機会に報道されているので、ウクライナ国民に対するインパクトは大きかった。
3. プロジェクト関係者へのインパクト
キエフ中央病院の展示室には本件プロジェクトに関する展示物が展示してあり、軍関係者へのインパクトのみならず、一般市民に対する広報効果も大変大きかった。 また日・ウクライナの友好親善関係に与えるインパクトも大きかった。
4. その他の波及効果
地域内の軍病院全体の医療システムのグレード・アップ(キャパシティ、質)に大きなインパクトを与えた。また供与機材を臨床実習に活用しているケースも多く、医学教育に対しても効果があった。 (2) 自立発展性
1. 制度的自立発展性
検診、診断及び治療機材と放射線・有毒ガス測定機器を分けて考える必要があるが、前者については需要が全般的に増加している。また1998年に国防省は核兵器解体従事者及びチェルノブイリ被曝者に対し健康診断の受診を義務づけているので今後も需要が見込める。後者については、1997年及び2001年に需要が消滅しており、国防省内で未使用機材の再利用案を検討している。
2. 財政的自立発展性
軍病院の予算確保の面において、自立発展性はやや低いと判断される。特に高価な精密機械の導入に伴う維持管理費の負担増が問題になっている。
3. 技術的自立発展性
機材の管理体制は、ほぼ万全であり、機材の維持管理体制に関する自立発展性は高い。
3-2 : 効果発現に貢献した要因
(1) 計画内容に関すること
1. 戦略核ミサイル廃棄作業に従事したロケット部隊員及びチェルノブイリ原発解体に従事した被曝者の診断・治療に最新の医療機材が必要であったことは事実であり、本件プロジェクトはターゲット・グループのニーズに完全に合致していた。
2. 検査、診断及び治療の需要は高まっており、供与機材の妥当性は高かった。
(2) 実施プロセスに関すること
1. 21の病院に対して予定通り機材が納入、設置されており、国防省及び各軍病院のプロジェクト実施能力の高さは、特記に値する。指揮系統がしっかりしており、末端組織まで指示が徹底していた。
2. 日・ウクライナ核兵器廃棄協力委員会等両国の関係機関の調整作業が素早く行われ、プロジェクトの成功に大いに貢献した。
3-3 : 効果発現を阻害した要因
(1) 計画内容に関すること
放射線測定機器、有毒ガス測定機器については、1997年の核弾頭解体終了、2001年のICBM発射サイロ解体終了に伴い、その需要は消滅した。全ての測定機器は、核弾頭が移管されるまでの短い期間しか使用されておらず、費用対効果の面で疑問が残る。
(2) 実施プロセスに関すること
各病院においては、供与機材の維持管理の予算確保に腐心しているが、これはプロジェクト開始当初から予想されたリスクであり、結果論として事前のリスクヘッジ策が十分ではなかった。
3-4 : 結論
(1)総合的に判断して本件プロジェクトは非常に良質な案件であった。
(2) 2国間協定の目的、援助方針、現地のニーズに合致した事業内容となっており、本件案件の妥当性は極めて高い。
(3)検査、診断、治療機器は、極めて高頻度に利用されており、ターゲットグループの治療等に大きく貢献した。放射線等の測定機器の利用頻度は低かったものの、核兵器解体現場において有効に活用された。各病院の医療体制の強化に大きく貢献しており、プロジェクトの目的はほぼ達成された。
(4)1次−4次の機材供与は、全て滞りなく行われており、供与プロセスも迅速に行なわれた。
(5)本件機材供与に伴い各病院の財政負担増の問題が生じたが、全体的に見ると社会的貢献は勿論のこと、地域軍病院全体の医療システムの強化、市民病院との協力、医学教育等にも大きく貢献した。
(6)供与機材の管理体制に問題はなく、かつ今後も十分な機材需要があるので自立発展性は高い。
3-5 : 提言
(1)供与機材の一部に老朽化・故障機材の更新の問題が顕在化しつつあり、供与機材の有効性継続の観点からの対応が望まれる。
(2) 試薬・スペアーパーツの補充が喫緊のニーズであるので、次回の供与を検討する際はこれらを含めて検討すべきである。
(3)当面の対策として非核化委員会あるいは技術事務局による定期的なモニタリングの開始が望ましい。またモニタリング組織をウクライナ側に設置すればモニタリング作業が被援助国側によって実施されることになり、自助努力にも通じる。
(4) また「定期的なモニタリングの実施」と「試薬・スペアーパーツの補充策」を組み合わせて実施すれば、本件プロジェクトの長期的持続及び被援助国側の自助努力 を促進出来る。
3-6 : 教訓
(1)予期せぬ事態及び負のインパクトに対するリスク・マネジメント手法の導入が必要である。
(2) F/S調査の段階からスペアパーツに関する十分な検討(需要予測)が必要である。
(3) 病院の予算内において需要予測に基づいた機材と試薬・スペアーパーツ供給量のベストミックス化が望ましい。
(4) 十分な事前のコンサルテーションに基づいた機材グレードの決定が望ましい。
(5) ウクライナ側による機材使用状況の定期的なモニタリング及び試薬・スペアパーツの在庫の把握が望ましい。
3-7 : フォローアップ状況
本件事後評価を実施した。 |