旧ソ連非核化協力事務局  
       
事後評価調査結果要約
1. 案件の概要

● 国名:ベラルーシ共和国
● 案件名:ベラルーシ共和国訓練センター供与計画
● 分野:職業訓練
● 援助形態:機材供与
● 協力金額総計:約3.1億円 
● 協力期間:1998年4月 − 1999年2月
● 先方関係機関:
  •  ベラルーシ工業省 
  •  アガト生産合同本部 
  •  ネマン実験工場
  •  ベラルーシ教育省         
1−1 : 協力の背景
 ベラルーシ工業省及びその傘下のアガト生産合同本部は、ベラルーシが保有していた核弾頭をロシアに移管したことに伴い、失業する戦略軍所属の軍人の再就職を促進するための職業訓練センターを設立したいとし、わが国に関連機材の供与方を要請した。

1−2 : 協力内容
(1) プロジェクト目標
 戦略軍所属の軍人及び核兵器解体に従事した軍人に対し、職業訓練を行い、再就職を支援する。
(2) 成果
 諸般の事情が重なり、退役軍人の職業訓練という成果は限定的であった。
2. 評価調査団の概要

   調査者:株式会社 パデコ
  現地調査:2004年7月2日 〜 10日
  評価種類:事後評価
3. 評価結果の概要

3−1: 評価結果の要約
(1) インパクト
 退役軍人の職業訓練、再就職支援という目的達成への貢献度は、限定的であった。 
(2) 自立発展性
 1. 制度的自立発展性
 本件プロジェクトは、退役軍人と直接関係のない工業省、訓練センターの運営に経験のないアガト生産合同本部及びバス生産・整備工場であるネマン実験工場が実施機関となっており、当初から自立発展性は限定的であった。
 2. 財政的自立発展性
 退役軍人職業訓練センターは、開校当初から支出が収入を上回っており、中長期的に継続することが困難な機関であったと考えられる。
 3. 技術的自立発展性
 供与機材は、供与後5年を経過しているが、現在でも一部を除き十分研修活動に活用出来るので、本来的には技術的に自立発展性の高い機材供与であった。

3−2: 効果発現に貢献した要因
(1) 計画内容に関すること
自動車整備及びコンピューター研修コースの有用性は、認められた。また供与機材も適正であった。  
(2) 実施プロセスに関すること
 戦略ロケット軍解体に伴うリーダ市へのインパクト、現地メディアを通じた広報分野では成果があった。

3−3:効果を阻害した要因
(1)計画内容に関すること
1.案件形成時において、事実を考慮しないもしくは現状の変化に対応しないまま計画を立案していた。
2.研修計画について、プロジェクト形成調査段階でコンサルタントとベラルーシ側で案件立案を担当していたAGAT生産合同本部との間で立てられた計画の妥当性に問題があった。
(2)実施プロセスに関すること
1.ベラルーシ側で国民投票による憲法改正、それに伴う各省庁の構造改革があり、実施機関である工業省、AGAT生産合同本部にも人事異動という形で影響があった上、両機関とも研修機関設立を行うことも外国から援助をもらうことも初めてであった。
2.案件に関する実施機関(工業省、AGAT生産合同本部、ネマン実験工場)と工業省以外の行政機関(教育省、国防省)との連携が弱く、開校や退役軍人職業訓練センターの継続性に関する配慮がまったくなされなかった。
3.案件実施開始時に予見困難であった各種事態が生じ、再訓練した軍人数が非常に限定的なものとなった。
4.退役軍人職業訓練センターは開校当初から支出が収入を上回っており、中長期的に続くことが難しい機関であった。

3−4: 結論
(1) 当初の事業内容の妥当性は高かったと判断されるが、前記のような予想困難な事態が発生したため、支援対象者への再訓練はほとんど行われておらず、結果として本件事業の妥当性は高かったとはいえない。
(2) 但しリーダ市の一般市民に対する職業訓練を通じ同市の安定、経済的・社会的発展に少なからず貢献した。また現地メディアを通じた広報の分野でも成果が認められる。

3−5: 提言
(1) 退役軍人職業訓練センターが閉鎖されたので、供与機材を他の既存の研修機関に移譲すべきである。
(2) 今後、支援を行う場合、緊急性があり十分な支援ニーズがあること、支援対象のニーズが長期間変化しないこと、支援対象者のニーズを満たす可能性が高い事業に限定する等プロジェクト承認の際の新たな選定・承認基準を設定する必要がある。
(3) 訓練事業への機材供与に当たっては、既存の機関を優先することが重要である。

3−6: 教訓
 今後の案件においては、立案時から日・ベラルーシ核不拡散協力委員会の方針、目的、活動等を多角的に関係機関に周知させる努力を行うと共に、問題意識を共有し、それを案件形成、実施に活かしていくことが重要である。

3−7:フォローアップ状況
 本件事後評価を実施した。